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タレントマネジメントシステムの「タレント」とは、日本語で「才能」や「技量」と訳されます。タレントマネジメントシステムとは、業務に従事する従業員の才能や技能を会社側が正確に見出して管理し、それらのデータをもとに従業員ひとりひとりが自らのスキルを最大限に発揮できるための人事システム作りを意味します。
そもそもタレントマネジメントとは、1990年代にアメリカで誕生した人事管理に関する考え方です。アメリカの大手企業の間で、次世代の幹部、リーダーを把握し育成するための手法として取り入れられてきました。
そこから、次世代リーダーの育成にとどまらず、タレントマネジメントの概念を活かして経営目標の達成のために効果的な人員配置を行うために幅広い人材の情報を管理するように発展していきました。
まだまだ導入が遅れている日本のタレントマネジメントシステム状況ですが、その認知度は増加傾向にあるようです。HR総研によるアンケート調査では、以下のようなデータが発表されています。
タレントマネジメントとは?を理解している企業はおよそ7割。概念ほどの理解まで範囲を広げると9割となります。また従業員1001人以上の大企業になるほどその割合は高く、逆は低くなります。
運用の割合は大企業で4割近くになりますが、中小企業では1割以下。運用していない理由は、「人事戦略が明確でないから」「効果的な活用ができる人材が不足しているから」「運用に際する人的負担が大きいから」と続きます。
タレントマネジメントシステム導入の最も重要な目的は、「人材の適正配置」が39%、続いて「戦略的な人材育成」が32%、「後継者(リーダー候補者)管理」が13%という結果となっていますが、企業の規模により優先順位が異なり、大企業では「戦略的な人材育成」が最も重要視され、中小企業では「人材の適正配置」が最重要の項目となりました。大企業では少数の人材を経営陣として育成する傾向にあり、中小企業ではあらゆる戦力を適所に配置することに重きを置いていることが伺えます。
アンケート出典:HR総研 タレントマネジメントシステムに関するアンケート調査(2019年10月実施、Webアンケート、企業の人事責任者・人材育成・タレントマネジメントシステム担当者対象、有効回答186件)
アメリカのタレントマネジメントの考え方は、その後日本企業でも取り入れられるようになります。日本にタレントマネジメントの考え方が導入された理由は、主に下記の2つになります。
時代の変化に沿って従業員の雇用形態が多様化し、これまで当たり前だった終身雇用だけでなく様々な働き方をする人が増えてきました。企業側も旧来型の人事管理システムでは従業員を十分に管理できなくなり、タレントマネジメントシステムの導入が必要になってきました。
労働環境が変化する中で、従業員側も会社の画一的な人事管理システムに対しうまく対応できなくなり、モチベーションを下げて離職する人が増えてきました。職域の多様化や単純な労働人口の減少を受けて、従業員の確保・定着は会社にとって最重要課題となってきていることも重なり、従業員それぞれのスキルを管理して適正配置を行い、小さな単位の組織の健全性を常に管理しておくことが、企業の安定成長に欠かせなくなってきたのです。
タレントマネジメントシステムの目的は、経営目標の達成のために、適切な人員の配置や育成を行うことです。そのためには、従業員のスキルや経歴を管理し、組織の健全性を分析する必要があり、まずは人事情報の集約が必要となります。
すでに日本でもさまざまな企業がタレントマネジメントシステムを導入して実際に活用しています。タレントマネジメントシステムは大まかに以下のステップで活用されます。
WEBなどでタレントマネジメントシステムとして紹介されていても、製品によって機能やできることが異なります。
各タレントマネジメントシステムの導入事例を見ると、導入で成功している人事は特にこの段階を慎重に進められているようです。自社の抱えている問題や解決すべき課題をリストアップして、それぞれのシステム会社に問合せをしながら検討を進めていきます。
当サイト「タレントマネジメントシステムEXPO」では、人事が解決したい課題に合わせて、24製品ものタレントマネジメントシステムの機能を比較しておりますので、どうぞご覧ください。
導入を行ったタレントマネジメントシステムによって異なりますが、主に人材情報を専用のツールを通じて可視化できるようになります。所属組織や経緯のほか、スキルや評価、適性データを紐づけて一元管理を行うことでタレントマネジメントの推進を行えます。
タレントマネジメントシステムの活用は、これまで拠点やセクションそれぞれで管理されていた人事台帳や評価データ、企業によっては営業所のマネージャーだけが握っているような情報をデータ化させるところから始まります。企業にとってはタレントマネジメントシステム導入における大きなハードルのひとつですが、RPAや導入サポートのようなサービスを併用している製品もあり、データ化の助けになる場合があります。
改めて社内の人材を見直し、適切な人材配置が行われているか確認します。経営目標を達成させるうえで今後必要になる従業員のスキルや人数、社内でパフォーマンスを出している従業員の適性と近い人材を採用するといったようなファクトベースの採用活動など、データが収集された時点で御社の可能性は拡大するでしょう。
経営目標達成の上で必要な人材の育成や効果的な配置を分析し実行します。タレントマネジメントシステムの中にはBI(ビジネスインテリジェンス)ツールを用いて経営層への理解を得やすい分析結果を作成することができるものや、見やすい画面で人員配置のシミュレーションやその結果予測を行える製品もあるので、業績目標達成に向けて根拠のある組織編成を構築できます。
経営目標の達成に有効な人員配置が完了したら、実際にどのような効果を得られるのか、データの収集を行い、必要であれば適宜組織やミッションを組み替えていくような運用が必要です。人事だけでなく各部署・各拠点の管理職を連携をして、人員配置の観察と修正を進められるしくみ作りを行いましょう。
欧米で駆使されているタレントマネジメントシステムですが、日本ならではの課題もあるようです。
システムを十分に活用するためには、データが必要不可欠です。しかし、社員一人ひとりが個人としてキャリア形成をしていくという意識が定着していない日本では、管理職での移動や採用が少ないこともあり、データのアップデートへのメリットが感じられないようです。
現場をマネジメントする管理職は、タレントマネジメントのアクション主体者でもあります。ですから、コミュニケーションや採用・移動の判断などが管理職の役割だという認識をしっかりと理解してもらい、協力的な体制を整えると良いようです。
タレントマネジメントシステムの導入は、長いことExcel シートで手作業で管理してきたデータなどを、突然クラウドベースのシステムに変更するという大きな変化を伴います。また影響力もありますので、導入により企業の人事や雰囲気などを変えてしまうこともあります。
このような問題は、システムが理解されないまま導入されると起こる可能性が高くなりますので、事前に導入の目的や必要性を説明して、社員全体にシステムと意図を理解してもらうことが大切です。
HRテックは、「Human Resources」と「Technology」を掛け合わせた造語で、クラウドやAI(人工知能)、ビッグデータ解析を駆使したソリューションです。これまで人事が行なってきた、採用、育成、評価、配置などの労務・採用管理や社内コミュニケーションを効率化すると同時に、面接や離職予想なども可能なタレントマネジメントシステムです。先端技術を活用するので、インターフェースや操作性の改善に伴い、生産性も向上します。
HRテックには、以下の主な3つのIT技術が使用されています。
日本でもかなり定着したクラウドはHRテックの主流でもあり、自社サーバーが不要で、インターネットに接続できる環境であればネットワーク経由でどこでも利用可能なシステムです。
パソコン以外にもスマートフォンやタブレットを使用して簡単にアクセスできるサービスです。
ビッグデータの解析に用いられるのがAIです。膨大で客観的なデータを基に、適材適所の人材配置や退職予測も行い、これまでの人事のタスクを大幅に効率化しています。
またAIを活用したRPA(Robotic Process Automation)は、給与計算や時間管理などにおけるヒューマンエラーを減らし、業務の生産性向上に貢献しています。
AIに欠かせないのが分析や予測を行うのに必要なデータです。様々な形式や性格の非構造化・否定系的なデータを扱うことから、データ量とは異なる意味で「ビッグ」という言葉が使用されています。
具体的には、人材の特徴やスキルなどの要素、従業員の退職理由、営業成績の傾向などがデータとして使用され、データが大量で多様なほどAIの予測精度が上がります。
料金と機能の比較
タレントマネジメント
システム
高機能な
タレントマネジメントシステムを
導入コストで比較
タレントマネジメントシステム導入で解決できる人事の課題13項目を挙げ、より多くの機能で課題を解決できる製品の導入・運用費用を比較しています。
ヒトマワリ
解決できる課題
13項目
・人事情報を一元管理したい
・自社特有の項目を追加したい
・人事評価をラクに管理したい
・人材のスキルを管理したい
・採用情報や進捗を管理したい
・適性検査をしたい
・適材適所への人員配置をしたい
・権限設定を自由に設定したい
・定着率を向上させたい
・残業の多い部署を特定したい
・過去のデータを活かして分析したい
・導入時の構築フォローも依頼したい
・評価されているシステムを導入したい
初期費用
無料
月額料金 ( 税別 )
1万円 / 月~
導入サポート料金
( 税別 )
無料
タレントパレット
解決できる課題
12項目
・人事情報を一元管理したい
・自社特有の項目を追加したい
・人事評価をラクに管理したい
・人材のスキルを管理したい
・採用情報や進捗を管理したい
・適性検査をしたい
・適材適所への人員配置をしたい
・権限設定を自由に設定したい
・定着率を向上させたい
・残業の多い部署を特定したい
・過去のデータを活かして分析したい
・評価されているシステムを導入したい
初期費用 ( 税別 )
50万円
月額料金 ( 税別 )
18万円 / 月~
導入サポート料金
( 税別 )
記載なし
カオナビ
解決できる課題
12項目
・人事情報を一元管理したい
・自社特有の項目を追加したい
・人事評価をラクに管理したい
・人材のスキルを管理したい
・採用情報や進捗を管理したい
・適性検査をしたい
・適材適所への人員配置をしたい
・権限設定を自由に設定したい
・残業の多い部署を特定したい
・過去のデータを活かして分析したい
・導入時の構築フォローも依頼したい
・評価されているシステムを導入したい
初期費用 ( 税別 )
プランと利用人数により変動
月額料金 ( 税別 )
プランと利用人数により変動
導入サポート料金
( 税別 )
記載なし
※初期費用、月額費用は独自取材による参考価格です。機能や導入企業の規模によって異なりますので、正確な導入費用については直接お問い合わせください。月額料金においては、すべて最小料金のプランで比較しています。ヒトマワリは1年単位の契約における料金となります。➡比較を行っている人事の課題13項目とは